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お知らせ 2022/04/25

それ、【パタハラ】になっていませんか?~2022年から男性の育休促進が図られます!~

パタハラという言葉をご存知ですか?
パタハラとは、パタニティ・ハラスメントを略したもので、父性を意味するパタニティ(paternity)とハラスメントを組み合わせた和製英語です。
育児休業や時短勤務制度などを利用しようとする・利用しようとした男性従業員へ嫌がらせをしたり、不利益取扱いを示唆したりすることをいいいます。
 

パタハラにあたると考えられる例

・ 育児休業の取得をしようとしたら、認めてもらえなかった
    「男のくせに育児休業をとるのか」と言われた
・ 育児のために時短勤務をしたら、同僚に嫌味を言われた
・ 育児を取得したら、降格させられた、復職前後で急な転勤を言い渡された
男性の育児休業取得率は年々上昇しています。
厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」によると、2020年の民間企業に勤める男性の育児休業取得率は前年から5.2%アップして、過去最高を更新し12.65%となりました。
一方女性の取得率は81.6%となっており、男性の育児休業取得率は依然低い状況です。
令和2年度雇用均等基本調査より

そのような状況の中、厚生労働省が令和2年に、職場のハラスメントに関する実態調査を実施しています。

その調査結果を紹介します。
 

職場のハラスメントに関する実態調査結果

〇パタハラを受けた経験
 過去5年間で1度でもパタハラを受けたと回答した男性労働者は26.2%となっています。
 
実態調査 主要点より
 
また、従業員1,000人以上だと21.7%だったのに対し、99人以下は31.1%と約10ポイントと、企業規模によって差が出ています。

〇パタハラの行為者
 複数回答で誰からハラスメントを受けたかを尋ねたところ、役員以外の上司が66.4%で最も多く、次に役員34.4%、同僚23.7%、部下13.0%と続いています。

〇パタハラの内容
 制度等の利用の請求や利用を阻害する言動のほか、人事考課での不利益な評価やほのめかしなどが目立ちました。

〇パタハラを受けて利用をあきらめた制度
 利用を諦めた制度としては育休が42.7%で最も多く、残業や深夜業務の免除・制限34.4%、短時間勤務や始業時間の変更が31.3%となっています。
 

調査結果ではこのようになりましたが、パタハラの発生要因としては、日本に根強く残る、性別による役割分担意識(男性が働き、女性が家庭というような偏見)が考えられ、また育児休業に関する法律・社内制度があるのに、それについての知識が不足していること等が考えられます。
 
令和4年4月から順次育児介護休業法が改正され、男性の育児休業取得が推進されます。
 

改正内容

〇令和4年4月1日施行

1.育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
※複数の措置を講じることが望ましいとされています。
①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

2.妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
※取得を控えさせるような形での個別周知と意向確認を認められません。
 

 
〇令和4年10月1日施行

3.産後パパ育休の創設
4.育児休業の分割取得

 
この育児休業法改正により、男性の育児休業取得推進が図られることになります。
同法ではすでに、育児休業等の申出・取得を理由に、事業主が労働者に不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。
また、妊娠・出産の申し出、産後パパ育休の申し出・取得、産後パパ育休期間中の就業を申し出・同意しなかった等を理由とする不利益な取り扱いも禁止されます。
なかなか男性の育児休業が浸透していない企業では、男性が育休を取得しづらい環境にあるかもしれません。また、社内で、育児休業の制度への理解不足から、パタハラをしてしまうことも考えられます。
事業主は、職場のパタハラを防止する措置を講じることが義務付けられており、より一層、自社での周知・啓発が必要となります。
<参考>
育休改正法リーフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf
職場のハラスメントに関する実態調査
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000165756.html
令和2年度雇用均等基本調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r02.html
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