ニュース&トピックス

News & Topics

お知らせ 2021/12/24

2023年4月~中小企業の時間外労働の割増率が引き上げられます

現行制度では、月の時間外労働が60時間を超えた場合に50%以上の割増賃金を支払う必要がありますが、中小企業においては、この50%以上の割増賃金の支払いが猶予されていました。
法改正により2023年4月から、中小企業においても適用されることとなり、大企業同様に月の時間外労働が60時間を超えた場合には、50%以上の割増賃金を支払う必要があります。
今回は引き上げの概要と、法改正までにやるべきことを解説していきます。
 

月60時間を超える時間外労働に対して、50%以上の割増賃金を支払う必要があります

2023年4月から中小企業への猶予措置廃止

 時間外労働が60時間を超えてしまった場合、2つの対応が必要です。
■割増賃金率の引き上げ
 超えた時間に対して、50%以上の割増賃金率による割増賃金を支払う。
■代替休暇の活用
 割増賃金率の引き上げ分(25%)の支払いに代えて代替休暇(有給)を与える。

 

深夜労働との関係

 深夜(22:00~5:00)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合は、50%以上の時間外割増賃金に25%以上の深夜割増賃金を上乗せして支払うことになるため、合わせて75%以上の支払いが必要となります。
 

法定休日との関係

 1か月60時間の法定時間外労働の算定には法定休日(例えば、日曜日など)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(例えば土曜日)に行った法定時間外労働は含まれます。
 なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいです。
 ※法定休日・・・1週に1回または4週に4回の最低限与えなければならない休日
 

割増賃金の代わりに有給の休暇を付与(代替休暇)することができます


 

代替休暇制度導入にあたっては、過半数組合、それがない場合は過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です

■労使協定で定める事項
 ①代替休暇の時間数の具体的な算定方法
 ②代替休暇の単位
 ③代替休暇を与えることができる期間
 ④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
①代替休暇の時間数の具体的な算定方法
(例)以下のような算定方法になります。


※1か月60時間超の法定時間外労働時間に対する引き上げ分の割増賃金額に対応する時間数となります。

②代替休暇の単位
 1日半日1日または半日のいずれかによって与えることができます。

③代替を与えることができる期間
 労働者の休息を目的としていますので、時間外労働が60時間を超えた月の末日の翌日から2か月以内の期間で与えることを定めてください。

④代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日
 賃金の支払い額を早期に確定させ、トラブルを防ぐために労使でしっかり定めてください。
・取得日の決定方法(意向確認の手続)
 例えば、月末から5日以内に使用者が労働者に代替休暇を取得するか否かを確認し、取得の意向がある場合は取得日を決定する、というように、取得日の決定方法について協定しておきましょう。
 ただし、取得するかどうかは法律上、労働者に委ねられています。これを強制してはならないことはもちろん、代替休暇の取得日も労働者の意向を踏まえたものとしなければなりません。
・割増賃金支払日
 代替休暇を取得した場合には、その分の25%の割増賃金の支払が不要となることから、いつ支払っておけばよいのかが問題になります。労使協定ではどのように支払うかについても協定しておきましょう。


 

法改正までにやるべきこと

  • 労働時間を適正に把握する。
  • 業務を効率化して時間外労働を削減する。
  • 代替休暇制度の導入を検討する。導入する場合は、労使協定を締結する。
労働時間管理でご不明な点があれば弊所までお尋ねください。

<参考>
①厚生労働省 法定割増賃金率の引上げ
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-2_04.pdf
②厚生労働省 月60時間を超える法定時間外労働に対して
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/091214-1_03.pdf
一覧へ