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お知らせ 2021/10/20

在宅勤務(テレワーク)と事業場外みなし労働制度

新型コロナウイルス感染症の影響により、「在宅勤務(テレワーク)」が増えてきつつあります。この「在宅勤務(テレワーク)」には労働時間の把握、管理などの課題も多いようです。
今回は、在宅勤務(テレワーク)と事業場外みなし労働制度について解説します。

 

みなし労働時間制とは(労働基準法第38条)

 労働者が業務の全部又は一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばないために、当該業務に係る労働時間の算定が困難な場合に、使用者のその労働時間に係る算定義務を免除し、その事業場外労働については「特定の時間」を労働したとみなすことのできる制度です。
 自宅でテレワークを行う場合であっても、一定の条件を満たせばみなし労働時間制の対象となります。
労働者が事業場外で業務に従事し、かつ労働時間の計算が困難な場合には、みなし時間により労働時間を計算できる場合があります。
厚生労働省は、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(2021年3月25日改定)において、以下のような見解を示しています。
 

在宅勤務(テレワーク)でみなし労働時間制を適用する場合

自宅でテレワークを行う場合、次の①②をいずれも満たす場合には、制度を適用することができます。

① 情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態にしておくこととされていないこと
  • 勤務時間中に、労働者が自分の意志で通信回線自体を切断することができる場合
  • 勤務時間中は通信回線自体の切断はできず、使用者の指示は情報通信機器を用いて行われるが、労働者が情報通信機器から自分の意志で離れることができ、応答のタイミングを労働者が判断することができる場合
  • 会社支給の携帯電話等を所持していても、その応答を行うか否か、又は折り返しのタイミングについて労働者が判断することができる場合
② 随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
  • 使用者の指示が、業務の目的、目標、期限等の基本的事項にとどまり、一日のスケジュール(作業内容とそれを行う時間等)をあらかじめ決めるなど作業量や作業の時期、方法等を具体的に特定するものではない場合
在宅勤務において、自宅等でインターネット回線が常時、会社貸与パソコン、タブレットまたは携帯電話と接続していたとしても、その事実のみをもって直ちに事業場外みなし労働の適用が否定されるわけではありません。また、上司がテレワーク中の部下に対し、「業務の目的、目標、期限等の基本的事項」を随時、確認指示することも当然に可能です。
ガイドラインではテレワーク下において、通信回線、情報通信機器、携帯電話等から自分の意思で離れることが可能であり、かつ会社・上司が業務の進め方について「1日のスケジュール」等をあらかじめ具体的に特定するものでなければ「労働時間を算定し難い場合」に該当し得ることが明らかにされています。一方、事業場外みなし労働を導入する場合の留意点についても以下のように示されています。
  •  事業場外みなし労働時間制が適用される場合には、必要に応じて、実態にあったみなし労働時間となっているか労使で確認し、使用者はその結果に応じて業務量等を見直すこと。
みなし労働時間制を導入したとしても、適用労働者の労働時間管理をしなくてよいわけではありません。運用面において、上記ガイドラインを踏まえ、留意することが必要になります。
 
厚生労働省:「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/content/000759469.pdf
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