法改正
2021/04/27
4月から中小企業でも同一労働同一賃金が適用されました
同一労働同一賃金制度は、「働き方改革」の一環として、2020年4月1日から
「パートタイム・有期雇用労働法」が施行されました。中小企業については2021年3月31日まで猶予とされていましたが、この4月から適用が開始されました。
今回は今一度、同一労働同一賃金制度についておさらいしておきます。
同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(正社員)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差を禁止するための制度です。
具体的には、以下の対応を行います。
①不合理な待遇差を解消するための規定の整備
②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
③行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続の整備
このうち①と②が事業主に求められることとなります。
同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
また「不合理な待遇差」によって裁判になった際には「均衡待遇規定」「均等待遇規定」判断基準となることも定められています。
厚生労働省 「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」より
短時間労働者・有期雇用労働者の待遇が正社員との働き方や役割の違いに応じたものとなっているかがポイントです。
<具体例>
基本給 |
労働者の「①能力・経験」「②業種・成果」「③勤続年数」に応じて支給する場合は、①、②、③が同一であれば同一の支給をし、違いがあれば違いに応じた支給をする。 |
賞与(ボーナス) |
賞与(ボーナス)であって、会社の業績等への労働者の貢献に応じて支給するものについては、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を行わなければならない。 |
通勤手当 |
短時間労働者・有期雇用労働者にも正社員と同一の支給をしなければならない。 |
福利厚生施設 |
正社員と同一の事業所で働く短時間労働者・有期雇用労働者には、正社員と同一の①給食施設、②休憩室、③更衣室の利用を認めらければならない。 |
事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければなりません。
◆雇入れ時
有期雇用労働者に対する、雇用契約上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正規雇用転換の措置等)に関する説明義務を創設
◆説明の求めがあった場合
非正規雇用労働者から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を説明する義務を創設
◆不利益取扱いの禁止
説明を求めた労働者に対する場合の不利益取扱い禁止規定を創設
厚生労働省 リーフレット「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」【省令・指針反映版】」より
③行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続の整備とは?
行政から事業主に対して助言や指導などが行われるようになりました。
「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、都道府県労働局による無料、非公開の紛争解決手続き(行政ADR)の対象となります。
厚生労働省 リーフレット「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」【省令・指針反映版】」より
「パートタイム・有期雇用労働法」は2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)から施行されているため、もしまだ対応できていない事業主には速やかな対応が求められます。
就業規則や賃金規定を見直すには、短時間労働者・有期雇用労働者を含む労使の話し合いが必要です。また、検討の結果、手当等の改善をするためには原資など考慮・検討も必要となります。
弊所では、同一労働同一賃金をはじめ労務相談に対応しております。
お気軽にご相談ください。
【参照】
厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190591.html
厚生労働省「同一労働同一賃金特集ページ」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
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