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法改正 2020/12/18

2021年4月施行!高年齢者雇用安定法~70歳雇用時代の到来~

今年3月に改正高年齢者雇用安定法が成立しました。
高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進む中、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を発揮できるよう、高齢者が活躍できる環境整備を図るための法律です。
今回の改正では、従業員の70歳までの就労確保を努力義務とする規定が盛り込まれ、2021年4月1日に施行されます。
 

これまでの高年齢者雇用安定法と改正のポイント

<現行>高年齢者雇用確保措置(65歳まで・義務)

●60歳未満の定年禁止
事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。

●65歳までの雇用確保措置

定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
①65歳までの定年引上げ
②定年廃止
③65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入
 (特殊関係事業主(子会社・関連会社等)によるものを含む

<新設>高年齢者就業確保措置(70歳まで・努力義務)

65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務が新設されました。(2021年4月1日施行)

<対象事業主>
・定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主
・65歳までの継続雇用制度(70歳以上まで引き続き雇用する制度を除く。)を導入している事業主

<措置内容>

①70歳までの定年引き上げ 就業確保措置
②定年廃止
③70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
 (特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
④高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
 の導入
創業支援等措置(雇用によらない措置)
過半数労働組合等の同意を得て導入
⑤高年齢者が希望するときは、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度
 の導入
 a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
 b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業


現行の「定年延長」、「契約社員等での継続雇用」、「定年廃止」はいずれもそのまま自社での雇用が続くものでしたが、新設された高年齢者就業確保措置では、年齢が70歳に引き上げられた上、④と⑤の雇用以外の措置(創業支援等措置)という、自社で雇用する以外の働き方が追加されています。
改正法が施行されると、必ずしもこれまでの会社に残るのではなく、70歳まで多様な働き方で働き続けられるよう、さまざまな措置の検討をすることとなります。
 

実務への影響と準備すべき措置

措置の選択

高年齢者就業確保措置のうち、どの措置を講ずるかについては、労使間の十分な協議の上、決定する方が望ましいです。複数の措置を講ずることも可能ですが、個々の高年齢者にどの措置を適用するかは、個々の高年齢者の希望を聴取し、尊重して決定する必要があります。なお、創業支援等措置を実施する場合には、計画の作成が必要となります。
 

就業確保措置の対象者

高年齢者就業確保措置の対象となる高年齢者には、事業主に定年まで雇用され、その後継続雇用制度に基づいて特殊関係事業主(子会社・関連会社等)に雇用されている者を含みます。一方で、他の事業主との間のうち、どの措置を講ずるかについては、労使間の十分な協議の上、決定する方が望ましいです。複数の措置を講ずることも可能ですが、個々の高年齢者にどの措置を適用するかは、個々の高年齢者の希望を聴取し、尊重して決定する必要があります。
 

対象者基準

現行の65歳までの雇用確保措置では、希望する高年齢者全員を対象とした制度を導入することが事業主の義務とされていますが、65歳以降の高年齢者については、それ以前と比べて体力や健康状態、その他の本人を取り巻く状況がより多様なものとなります。そのため、70歳までの就業確保措置の努力義務にあたり、事業主が講ずる措置について、対象者の限定する基準を設けることが可能となります。(上の①②を除く)ただし、対象者を限定する場合には、その基準について労使で合意が図られることが望ましいです。
また、労使間での十分な協議の上で設けられた基準であっても、事業主が恣意的に高年齢者を排除しようとするなど法の趣旨等に反するものは認められません。(不適切な例:会社が必要と認めた者に限る等)

行政指導

本改正により、国は、高年齢者就業確保措置の実施について必要な指導及び助言、同措置の実施に関する計画の作成等を勧告できることとなります。また、その指導・助言があった場合に、状況が改善しないときは、高年齢者就業確保措置の実施に関する計画の作成について文書で勧告されます。
厚生労働省のQ&Aでは、「2021年4月1日時点で、70歳までの就業確保措置が講じられていることが望ましいですが、検討中や労使での協議中、検討開始といった状況も想定され」るとしており、70歳就業確保措置を講じるよう進めていくことが望ましいと思われます。
 

高年齢者雇用状況等報告

事業主は毎年1回「定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」の報告が義務付けられています。本改正により、70歳までの措置に関する実施状況、労働者への措置の適用状況に関する報告が求められることになり、2021年の報告から新様式で対応することとなります。
 


本改正では、努力義務として70歳までの就業機会を確保する制度を講じることが求められました。事業主は、70歳までの制度を導入することを努め続ける必要が出てきます。
どの措置を講ずるのか検討し、社内の賃金・組織構成やモチベーション維持、また高年齢者の健康・安全の確保についても配慮する必要があります。

高年齢者の就業確保措置については、「65歳超雇用推進助成金」が活用できる場合もあります。
お気軽に弊所までご相談ください。

【参考】
厚生労働省HP「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html
厚生労働省HP「65歳超雇用推進助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html

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