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お知らせ 2020/10/22

有給休暇の取得義務化への対応はできていますか?

厚生労働省は毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定め、年次有給休暇(以下、有給休暇)を取得しやすい環境整備を促進するための取り組みを行っています。
会社で、有給休暇の取得は進んでいるでしょうか?

昨年の4月には、労働基準法が改正され、有給休暇の取得義務が発生しています。
法律の施行から1年半経ち、取得期限を迎える労働者もいる中、もう一度有給休暇について仕組みを見直してみましょう。
 

1.有給休暇の付与日数

有給休暇は、①入社後6ヶ月間継続勤務し、②出勤率が全労働日の8割以上の労働者に付与されます。
その後は、前回の付与から1年ごとに有給休暇が付与されます。
これは、正社員・パート・有期社員の種別に関わらず労働者全員に付与されることになります。
ただし、付与をされる日数は週所定労働日数・週所定労働時間により異なります。(下図参照)

(参照:厚生労働省ホームページ)
 

2.有給休暇の5日取得義務について

2019年4月より、有給休暇を10日以上付与された労働者については、付与日から1年間の間に有給休暇を5日取得させなければならなくなりました。
取得の方法は、「労働者自らが請求・取得」、「年次有給休暇の計画的付与制度による取得」、「使用者による時季指定」のいずれかとなります。
有給休暇が取得できなかった場合、取得できなかった労働者1人につき最大30万円の罰金が科される可能性があります。
上表で赤枠で囲っているとおり、「週5日以上、もしくは週30時間以上働く労働者」「週4日働く勤続3年半以上の労働者」「週3日働く勤続5年半以上の労働者」がこの義務化の対象となります。
 

3.付与日数の例外について

有給休暇の一斉付与を取り入れている会社の場合、有給休暇の取得期限・日数が通常と異なる場合があります。
 
例)4/1に一斉付与を行う会社で、6/1に入社した場合

本来であれば、初めて有給休暇が付与された12/1から1年間、2回目に付与された4/1から1年間のそれぞれの期間で有給休暇を5日取得しなければいけません。
ただし、このような場合には期間の合算を行うことができます。

合算の計算は下記の通りです。
 5日÷12か月×16か月(1回目の付与日から、2回目の付与の1年後までの月数)
=6.6666...≒7
よって、この労働者は3/31までに有給休暇を7日取得する必要があります。
 

4.義務化への対応

①有給休暇を取得させる
有給休暇を取得しようとしない労働者に対しては、会社は時季を指定して有給休暇を取得させる必要があります。(「使用者による時季指定」)
時季指定にあたっては、労働者の意見を聴取しなければならないとされています。
なお、この時季の指定については、就業規則への記載がなければ行うことができません。
そのため、有給休暇の時季指定の可能性がある場合には、先に就業規則を確認しておく必要があります。
 
②有給休暇管理簿を作成する
会社は、各労働者ごとに「有休の日数」「有給の取得時季」「有給付与の基準日」を記載した有給休暇管理簿を作成し、3年間保存をしなければなりません。
現在、労働基準監督署の調査や、一部助成金の申請手続きでは、この有給休暇管理簿の提出が求められています。
 
有給休暇取得義務化への対応が不十分な場合、急ぎ対策をとる必要があります。
また、有給休暇の取得促進にあたっては、有給休暇を取得しやすい職場環境を作ることも大切です。
 
弊所では、職場の働き方・休み方のサポートを承っております。
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